○川西市手話言語条例

令和4年3月28日

条例第20号

言語は、お互いの意思や感情を伝え、理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で欠かせないものであり、人類の発展に大きく寄与してきました。

手話は、音声言語である日本語と同様に一つの言語であり、手指や体の動き、表情により視覚的に表現する言語です。ろう者にとって手話は、情報の獲得やコミュニケーションを図る重要な手段であり、自分自身を表現できるかけがえのないものです。

しかしながら、手話は長い間言語として認められず、使用できる環境が整えられなかったことから、ろう者はコミュニケーションを図ることが難しく、十分な情報保障もなされず、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。

こうした状況の中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法により手話は言語として位置付けられたものの、いまだ手話に対する理解が十分ではないことから、手話やろう者に対する正しい理解を広めていくとともに、手話を必要とする全ての人に手話を使用できる環境を整え、広く普及していくことが求められています。

ここに、手話は言語であることを認識し、手話及びろう者への理解並びに普及の促進により、手話を必要とする方が、普段の買い物や通院といった日常生活から災害時等のあらゆる場面まで、手話を使って生活を送ることができる環境を整え、全ての人が地域で支え合いながら安心していきいきと暮らすことができる地域共生社会の実現をめざし、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進することにより、社会的障壁によって分け隔てられることなく、全ての人が互いに尊重し、支え合う地域共生社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ろう者 手話を言語として使用し、日常生活及び社会生活を営む者をいう。

(2) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいう。

(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、手話が言語であるとの認識に基づいて、全ての人が手話により意思疎通を図る権利を有すること及び互いの人格と個性を尊重することを基本として行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及を図るとともに、手話を使用しやすい環境を整備するために必要な施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、手話の普及及び利用の促進に関して市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、手話の普及及び利用の促進に関して市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供するとともに、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する施策

(2) 手話の習得及び学習支援に関する施策

(3) ろう者の意思疎通を支援する者の確保、養成及び処遇等に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

(情報保障)

第8条 市は、ろう者が市政に関する情報を取得できるよう手話を用いた情報の発信に努めるものとする。

2 市は、手話も含めた災害時の情報提供及び意思疎通の手段の確保に努めるものとする。

3 市は、市が主催する講演会、説明会等において手話通訳者等を配置するよう努めるものとする。

(意見の聴取)

第9条 市長は、手話に関する施策の推進、実施状況及びそれらの見直しに関し、ろう者、手話通訳者その他関係者に意見を聴くものとする。

(委任)

第10条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(見直し)

2 市は、この条例の施行の日から起算して3年ごとに、この条例に基づく手話に対する理解の促進及び手話の普及を図るための施策の実施状況を勘案し、必要な見直しを行うものとする。

川西市手話言語条例

令和4年3月28日 条例第20号

(令和4年4月1日施行)