○川西市環境基本条例

平成18年6月26日

条例第34号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全と創造に関する基本方針等(第7条―第10条)

第3章 環境の保全と創造に関する施策等(第11条―第21条)

第4章 環境審議会(第22条)

付則

私たちのまち川西市は、猪名川や一庫大路次川の清流と多様な生き物の生息する豊かな自然に囲まれた歴史と伝統のあるまちです。古くは弥生時代にさかのぼる歴史を有し、中世には清和源氏が興隆し、江戸時代には里山から逸品の一庫炭が全国に出荷され、今日では緑豊かな住宅都市として、また、都市近郊農業地として発展しています。

しかし、高度経済成長期に入り、生活を取り巻く環境が大きく変容しました。そして、生活環境の変遷に対しては、様々な取組がなされ、その改善と整備に努めてきました。

また、近年になって、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済活動に伴うライフスタイルの変容が地球温暖化などの新たな環境問題をもたらし、人類の生存環境を脅かす問題として注目されることとなりました。

今こそ、私たちは、市、市民及び事業者が共に英知と総力を結集し、先人たちが伝えてきた里山・猪名川水系を中心とする多様な生物のすむ自然環境を再生し、生活環境をはぐくみ、人々が豊かさを実感し、快適な都市生活を享受できる市民中心の環境共生都市を創出していかなければなりません。

ここに、すべての市民の参画と協働により、恵まれた川西市固有の自然と歴史的・文化的風土をいかし、より環境負荷の少ない、循環を基調とした人と自然が共生した発展が可能なまちを創出し、将来の世代へと引き継いでいくため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全と創造について、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全と創造に関する施策の基本的事項を定め、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、現在及び将来にわたって市民が健康で文化的な生活を営むことのできる良好な環境を確保し、地球環境の保全に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 環境の保全と創造 より環境への負荷の少ない循環を基調とした人と自然が共生する持続的発展が可能なまちづくりを目指し、健全で豊かな環境の保全と潤いのある快適な環境を回復及び再生していくことをいう。

(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(5) 地域環境 尼崎市、伊丹市、宝塚市及び猪名川町並びに大阪府下の市町など猪名川水系に係る広範な地域の環境であって、これらの地域の歴史、自然、文化、経済、交流などの背景を含むものをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全と創造は、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、推進するものとする。

(1) 市、市民及び事業者のすべてが参画と協働のもとに取り組むこと。

(2) 猪名川や市の北部山間地域を含む多様な生態系及び自然環境に配慮し、人と自然との共生を図ること。

(3) すべての市民が健康で文化的な生活を営むことのできる静かで、やさしく、暮らしやすい良好な生活環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくこと。

(4) 地域における歴史的かつ文化的な環境の保全に配慮し、将来の世代へ継承していくこと。

(5) 環境資源の適正な管理及び循環的な利用を図ることにより、環境への負荷の少ない持続的に発展することが可能な社会の実現を目指し、地球環境の保全に貢献すること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全と創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施するものとする。

2 市は、基本理念にのっとり、自ら行う事業の実施に当たっては、環境の保全と創造に配慮するとともに、環境への負荷の低減に努めるものとする。

3 市は、基本理念にのっとり、環境の保全と創造に関する施策を推進するため、必要な体制を整備するものとする。

4 市は、基本理念にのっとり、環境の保全と創造に係る広域的な取組を必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その施策の推進に努めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めるものとする。

2 市民は、基本理念にのっとり、廃棄物の減量化を進めるとともに、資源、エネルギー等の有効利用を図ることにより、環境への負荷の低減に努めるものとする。

3 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全と創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全と創造に関する施策に積極的に参画し、協力するよう努めるものとする。

4 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活が地球環境の保全と密接に関係することを認識し、市民相互、市及び事業者と協働して地球環境の保全のための活動に取り組むよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴う公害の防止、環境への負荷の低減その他の環境の保全と創造に資するため必要な措置を講ずるものとする。

2 事業者は、基本理念にのっとり、廃棄物の発生の抑制等を進めるとともに、資源、エネルギー等の有効利用を図ることにより、環境への負荷の低減に努めるものとする。

3 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、市が実施する環境の保全と創造に関する施策に積極的に参画し、協力するよう努めるものとする。

4 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動が地球環境の保全と密接に関係することを認識し、市及び市民と協働して地球環境の保全のための活動に取り組むよう努めるものとする。

第2章 環境の保全と創造に関する基本方針等

(基本方針等)

第7条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づいて、環境の保全と創造に関する施策を策定し、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 公害を防止し、大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより、良好な生活環境を保全すること。

(2) 河川、森林等の自然環境を適正に保全し、人と自然との共生を図ること。

(3) 地域の特性をいかした良好な都市景観を形成し、歴史的文化的遺産の保全及び活用等により、快適な都市環境を創造すること。

(4) 廃棄物の発生及びエネルギーの消費を抑制し、環境の保全と創造を図ることにより、地球環境の保全をすること。

2 市は、環境の保全と創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、市民及び事業者の日常的な環境の保全への努力が不可欠であることを認識して、広く市民及び事業者の参画を求め、協力体制のもとに行うものとする。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全と創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 環境の保全と創造に関する目標及び施策の大綱

(2) 市、市民及び事業者が健康で豊かな環境の保全と創造のために行動する上において配慮すべき指針(以下「環境配慮指針」という。)

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民、事業者又はこれらの者の組織する団体(以下「市民等」という。)の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、第22条に規定する川西市環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くものとする。

5 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかに、これを公表するものとする。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(年次報告)

第9条 市長は、環境基本計画の適正な進行管理を図るため、市域の環境の現状及び環境の保全と創造に関する施策の実施状況を取りまとめた年次報告書を作成し、これを審議会に報告するとともに、公表するものとする。

2 市長は、前項の年次報告について、市民等の意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。

(環境基本計画と他の施策との整合)

第10条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。

第3章 環境の保全と創造に関する施策等

(環境配慮指針への適合)

第11条 市は、自らその行政活動を環境基本計画に定める環境配慮指針に適合させるものとする。

2 市民及び事業者は、その社会経済活動のあり方、生活様式のあり方等を環境基本計画に定める環境配慮指針に適合させるよう努めるものとする。

(規制の措置等)

第12条 市は、環境の保全と創造を図るため必要があると認めるときは、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 市長は、環境の保全と創造を図るため必要があると認めるときは、利害関係者と協議し、及び指導又は助言をすることができる。

(経済的措置等)

第13条 市は、市民等が自ら行う環境への負荷の低減その他の環境の保全と創造に資する活動を促進するため必要があると認めるときは、経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、環境の保全上の支障を防止するため、市民又は事業者に係る適正で公平な経済的負担の措置について、調査及び研究を行い、特に必要があると認めるときは、その措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用促進)

第14条 市は、廃棄物の減量、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるよう、自ら行動するとともにそのための必要な措置を講ずるものとする。

2 市民及び事業者は、廃棄物の減量、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるよう、自ら行動するとともに市が行う必要な措置に協力するものとする。

(環境教育等)

第15条 市は、市民等が環境の保全と創造についての理解を深め、環境の保全と創造に資する活動を行う意欲が増進されるよう、環境の保全と創造に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実等に係る必要な措置を講ずるものとする。

2 市民等は、基本理念にのっとり、自ら環境の保全と創造に関する学習に努めるとともに、市と協力して環境の保全と創造に関する知識の普及及び行動の促進に努めるものとする。

(自発的な活動の促進)

第16条 市は、市民等による自発的な環境の保全と創造に資する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 市民及び事業者は、その日常生活及び事業活動が環境の保全と密接に関係することにかんがみ、市と協働して地域における環境の保全のための活動に取り組むよう努めるものとする。

(情報の収集及び提供)

第17条 市は、環境の保全と創造に資するため、本市の環境資源の状況、環境の保全と創造に向けた取組の現状や成果その他関連する情報の収集及び提供に努めるものとする。

2 事業者は、環境の保全と創造に資するため、製品の環境への負荷に係る情報その他の事業活動に伴う環境への負荷に係る情報を公開するよう努めるものとする。

3 市民等は、身の回りの環境資源の現状や自然環境の現状についての情報をできる限り公開して、環境の保全と創造に向けた取組に資するよう努めるものとする。

(環境管理の普及)

第18条 市は、環境の保全と創造に関する施策を実施するに当たっては、自らその活動についての成果の点検、評価及び改善(以下「環境マネジメント」という。)を行えるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境の保全と創造に資するため、市民及び事業者が自らその活動に係る環境マネジメントを行えるよう普及に努めるものとする。

3 市民及び事業者は、環境の保全と創造に資するため、自らその活動について、環境マネジメントを行えるよう努めるものとする。

(監視体制の整備)

第19条 市は、環境の保全と創造に関する施策を実施するため、環境の状況の把握に必要な監視、測定及び検査の体制の整備に努めるものとする。

(財政上の措置)

第20条 市は、環境の保全と創造に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第21条 市は、市民等が地域環境の保全と創造及び地球環境の保全に関して、相互の連携を深め、共同した行動等を推進するため、全市的な推進体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。

第4章 環境審議会

(環境審議会)

第22条 市は、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、審議会を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全と創造に関する重要事項

3 審議会は、前項に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員20人以内で組織する。

5 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

(1) 学識経験者

(2) 市民又は関係団体の代表者

(3) 関係行政機関の職員

(4) 前3号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者

6 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 委員は、再任されることができる。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年7月1日から施行する。

(川西市環境保全条例の一部改正)

2 川西市環境保全条例(昭和48年川西市条例第49号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(令和5年9月26日条例第25号)

この条例は、令和5年10月26日から施行する。

川西市環境基本条例

平成18年6月26日 条例第34号

(令和5年10月26日施行)

体系情報
第9類 生/第7章 環境保全
沿革情報
平成18年6月26日 条例第34号
令和5年9月26日 条例第25号