○川西市地域分権の推進に関する条例
平成26年6月25日
条例第10号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 コミュニティ組織(第10条―第13条)
第3章 地域づくり一括交付金(第14条―第17条)
付則
平成7年(1995年)に制定された地方分権推進法に基づいて進められた地方改革は、平成12年(2000年)の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行により、国と地方の対等性が法的に担保され、その後、三位一体改革の推進、地方分権改革推進法の制定など、その具現化が図られてきています。
また、本市では、昭和50年代半ばから、住民自らが行動し、より良いふるさとづくりを進めることを目的に、概ね小学校区を単位とするコミュニティの組織化に取り組み、各地域で活発な地域づくり活動が展開されています。こうした取組は、地域住民が、地域的な生活課題を、住民の意思と責任に基づいて解決するという「住民自治」の原理を体現する営みであり、今後さらに活性化させる必要があります。一方で、住民にとって最も身近な自治組織である自治会の現状を見ると、高齢化の進行などによる役員の担い手不足や加入率の低下などの問題を抱えており、地域における高齢者世帯や子育て世帯への支援、防犯・防災対策等に対する取組が困難な状況になっています。
さらに、自治体行政も、人口減少と急速な高齢化などによって、ヒト、モノ、カネなどの経営資源の縮小が余儀なくされる中で、「団体自治」に求められる自主・自立的な行政運営を図り、住民のセーフティネットとしての役割をいかに全うしていくかということが問われています。
こうした状況の中、本市では、平成22年(2010年)に「川西市参画と協働のまちづくり推進条例」を制定し、この条例に基づき、まちづくりの様々な主体が、対話と情報共有による信頼関係を大切にしながら、自らの役割を担い、お互いを補完し合うことで、個性的で魅力あふれるまちづくりを進めています。今後、本市が持続的に発展していくためには、住民自治と団体自治双方のさらなる機能強化を図ることが必要であり、それを具現化するための仕組みが求められています。
このような認識の下、地域分権制度を創設し、本市行政の機能強化を図るとともに、地域における総合的な自治を強化することにより、自治体力を高めることを目指します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、川西市参画と協働のまちづくり推進条例(平成22年川西市条例第16号)第3条に規定する基本理念にのっとり、地域分権による地域における総合的な自治の強化に関する基本的な事項を定め、もって自治体力の強化に寄与することを目的とする。
(1) 市民 市内に住所を有する者をいう。
(2) 自治会 市内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体をいう。
(3) マンション マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号。以下「適正化法」という。)第2条第1号に規定するマンションであって、市内に存するものをいう。
(4) マンション管理組合 適正化法第2条第3号に規定する管理組合をいう。
(5) コミュニティ組織 地域住民が自ら意思形成し、地域のために活動する機能を有する組織をいう。
(6) 住宅業者 市内で住宅の建築、販売、賃貸又は管理を行う事業者をいう。
(7) 地域別構想 市内の一定の区域を単位とし、地域の特性や多様性を生かした地域のありたい姿を掲げ、その実現に向けた地域づくりの方向を示すものとして市の総合計画に位置付けられたものをいう。
(市民の役割)
第3条 市民は、自らが地域住民の一員であることを認識し、住所を有する地域での活動に関心を持ち、自治会活動等の地域活動に主体的に参加するよう努めるものとする。
(自治会の役割)
第4条 自治会は、地域における最も身近な地縁組織として、より良い地域づくりを目的として地域活動に取り組むとともに、地域住民に対し、自治会への加入、地域活動への参加などを呼びかけるよう努めるものとする。
2 自治会は、コミュニティ組織と役割分担を図り、互いに補完し合いながら、地域のまちづくりを進めるよう努めるものとする。
(マンション管理組合等の役割)
第5条 マンションに居住している者(以下「居住者」という。)は、居住者を構成員とする自治会の形成又は当該マンションの存する地域の自治会活動等に主体的に参加するよう努めるものとする。
(コミュニティ組織の役割)
第6条 コミュニティ組織は、住民自治の推進を図るため、地域が抱える課題の解決に向けて地域活動に取り組むとともに、より良い地域づくりに努めるものとする。
2 コミュニティ組織は、地域住民の自治会活動等への参加促進に積極的に取り組み、自治会活動の活性化の推進に努めるものとする。
3 コミュニティ組織は、透明かつ民主的な運営に努めるものとする。
(住宅業者の役割)
第7条 住宅業者は、住宅の建築、販売、賃貸又は管理を行うに当たっては、自治会への加入及び新たな自治会の設立について入居予定者に説明するよう努めるものとする。
2 前項の場合において、住宅業者は、入居予定者が新たな自治会の設立を予定していることを知ったとき又は知り得ると認められるときは、当該住宅の存する地域の住民との間に良好な近隣関係が保持されるよう、入居予定者に既存の自治会と連携等を行うことについて説明するとともに、当該自治会との連絡調整に努めるものとする。
(住宅建築に伴う連絡担当者の届出)
第8条 住宅業者は、新たに開発許可を要する住宅又は市長が協議を要すると認めるものを建築しようとするときは、前条の規定による自治会への加入、新たな自治会の設立、既存の自治会との連携等に係る入居予定者への説明を行うに当たって、市及び当該住宅の存する地域の既存の自治会との連絡調整に当たる担当者(以下「連絡担当者」という。)を選任し、市長に届け出るものとする。
2 市長は、前項の届出があったときは、当該住宅の存する地域の自治会に対し、当該地域内に新たに住宅が建築されること、連絡担当者の届出があったことなど、当該届出に関する情報を提供するものとする。
3 連絡担当者は、前条の規定による説明に係る自治会との連絡調整の結果について、市長に報告するものとする。
(市の責務)
第9条 市は、第1条に規定する目的を達成するため、地域活動の活性化に積極的かつ主体的に取り組むものとする。
2 市は、自治会及びコミュニティ組織が取り組む地域活動に対し、次に掲げる必要な支援等を実施するものとする。
(1) 自治会加入促進への支援
(2) 自治会及びコミュニティ組織の活性化への支援
(3) 自治会及びコミュニティ組織への財政的支援
(4) コミュニティ組織への人的支援
(5) 自治会及びコミュニティ組織への情報提供
(6) 前各号に掲げるもののほか、自治会及びコミュニティ組織に対する必要な協力及び助言
3 市は、自治会又はコミュニティ組織が未整備の地域に対しては、その組織化など必要な支援等を実施するものとする。
第2章 コミュニティ組織
(コミュニティ組織の設置及び区域)
第10条 市民は、一定の区域を範囲として、コミュニティ組織を設置することができる。
2 前項に規定する区域の範囲は、小学校区(川西市立小学校及び中学校の就学指定等に関する規則(平成16年川西市教育委員会規則第9号)別表第1に定める校区をいう。以下同じ。)とする。ただし、市長が特別の理由があると認めるときは、小学校区を越えた区域においてコミュニティ組織を設置することができる。
(コミュニティ組織の構成員)
第11条 コミュニティ組織は、次に掲げる者を構成員とする。ただし、第1号に掲げる者を、必ずその構成員としなければならない。
(1) 前条第2項に規定する区域に住所を有する者
(コミュニティ組織の事業)
第12条 コミュニティ組織は、地域課題を解決し、住み良いまちづくりを推進するため、次の事業を行う。
(1) 文化及び体育に関する事業
(2) 環境の保全及び創造に関する事業
(3) 福祉の増進に関する事業
(4) 防犯、安全及び防災に関する事業
(5) 健康の増進に関する事業
(6) 青少年の健全育成に関する事業
(7) 良好なまちづくりに関する事業
(8) 住民の情報交換及び交流親睦に関する事業
(9) 前各号に掲げるもののほか、地域のまちづくりにおける地域課題を解決するため、特に必要があるとコミュニティ組織が認める事業
(活動の制限)
第13条 コミュニティ組織は、次に掲げる活動をしてはならない。
(1) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、又は信者を教化育成する活動
(2) 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対する活動
(3) 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下この号において同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対する活動
第3章 地域づくり一括交付金
(地域づくり一括交付金)
第14条 市長は、コミュニティ組織に対し財政的支援を行うため、地域づくり一括交付金(以下「交付金」という。)を交付することができる。
(交付金の交付要件等)
第15条 コミュニティ組織が交付金の交付を受けようとするときは、規則で定めるところにより市長に申請し、その承認を受けるものとする。この場合において、コミュニティ組織は、次に掲げるすべての要件を満たさなければならない。
(1) 第10条第2項に規定する区域の主要な団体が、コミュニティ組織の運営に参画していること。
(3) 名称、事務所の所在地、代表者の選出方法、総会の方法、監査その他コミュニティ組織を民主的に運営するために必要な事項が、規約に定められていること。
(4) 地域別構想に掲げた地域のありたい姿を実現するために実施する事業を取りまとめた地域別計画を策定していること。
2 市長は、前項の規定による申請について、その内容を確認の上、承認を行ったときは、当該コミュニティ組織に書面によりその旨を通知するものとする。
(交付金の額等)
第16条 交付金の額、交付に係る手続等は、市長が別に定める。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
この条例は、平成26年10月1日から施行する。