○川西市男女共同参画推進条例
平成27年6月30日
条例第25号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第10条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第11条―第21条)
第3章 雑則(第22条)
付則
すべての人は個人として尊重され基本的人権が保障されるとともに、法の下に平等であることが日本国憲法でうたわれ、私たちはそれを学び知っています。男女共同参画社会の理念は、この憲法の精神を日々の暮らしの隅々にまで浸透させ、根づかせるひとつの道筋です。同時に、その実現は、女性に対するあらゆる差別撤廃を掲げ、女性の社会的地位向上に努めている国際的な動きと共にあります。
私たちのまち川西市は、風光明媚な里山など豊かな自然に恵まれた環境の中で、有形、無形の財産を受け継ぎ、育みながら歴史を紡いできました。そして、誰もが幸福な生活を願い、努力を重ね、今日までの発展を遂げてきました。
また、本市は兵庫県内でいち早く「婦人センター」を創設するなど、早くから男女共同参画の推進に取り組んできました。しかし、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行は依然として根強く、私たちが向き合うべき多くの課題が残されています。
さらに、女性が社会でいきいきと活躍することは、少子高齢化が加速し人口が減少していく状況において、経済の活性化や地域活力の向上に大きく貢献することになります。
こうした状況を踏まえ、男女の区別なく誰もが社会の対等な構成員として、自らの意思によって家庭、職場、学校、地域など社会のあらゆる分野の活動に参画できると同時に、均等にその成果を享受し、責任を担う男女共同参画社会を実現させることが重要です。
ここに私たちは、様々な世代が集う中で、性別にかかわりなく多様な価値観や生き方を認め合い、互いに尊重することを通して、「このまちに住んで良かったと誰もが実感できる社会」を実現するためにこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民、事業者、教育関係者及び市民公益活動団体の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいう。
(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他団体をいう。
(4) 教育関係者 市内において学校教育、社会教育、家庭教育その他のあらゆる教育に携わる個人又は法人その他団体をいう。
(5) 市民公益活動団体 自発的及び自主的に行われる市民その他不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動を行う自治会、コミュニティ、ボランティア、NPO等の団体をいう。
(6) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方を不快にさせ、その者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた相手方の対応により、その者に不利益を与えることをいう。
(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(配偶者であった者を含む。)又は交際相手等親密な関係にある者(親密な関係にあった者を含む。)の間で行われる身体的、精神的、社会的、経済的又は性的な暴力をいう。
(8) 性同一性障害 生物学的な性と性の自己意識が一致しないことにより、精神的な葛藤を抱え、家庭生活及び社会生活における活動に困難が生じている状態をいう。
(9) 積極的改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(10) ワーク・ライフ・バランス 誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭生活、地域生活等との調和を保ち、人生の各段階に応じて多様な生き方を選択及び実現できることをいう。
(基本理念)
第3条 市並びに市民、事業者、教育関係者及び市民公益活動団体(以下「市民等」という。)は、次に掲げる基本理念にのっとり、男女共同参画を推進するものとする。
(1) 男女が、個人としての尊厳が重んじられ、性別による差別的取扱いを受けることなく、それぞれの能力を発揮する機会が確保されること。
(2) 男女が、性別による固定的な役割分担意識に基づいた社会の制度又は慣行によってその活動を制限されることなく、自らの意思と責任により多様な生き方を選択できること。
(3) 男女が、対等な構成員として、社会のあらゆる分野における方針の立案及び意思決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 男女が、互いの協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動と、職場、学校、地域その他の社会における活動とを両立できるよう配慮されること。
(5) 男女が、対等な関係の下に、互いの性に対する理解を深めるとともに、妊娠、出産等に関して互いの意思を尊重し、生涯にわたり安全で健康な生活を営むことができるよう配慮されること。
(6) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有することから、国際的な協調の下に行うこと。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
3 市は、男女共同参画の推進に関する施策について、市民等と協働するとともに、国、県及び他の地方公共団体と連携して取り組むよう努めなければならない。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画に関する理解を深め、社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めるものとする。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、その事業活動において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に取り組むとともに、職場における活動と、家庭、地域等における活動とを両立できる職場環境の整備に努めるものとする。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(教育関係者の役割)
第7条 教育関係者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性を認識し、基本理念にのっとり、教育を行うよう努めるものとする。
2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市民公益活動団体の役割)
第8条 市民公益活動団体は、その運営及び活動において、基本理念にのっとり、男女が平等に参画する機会を確保できるよう努めるものとする。
2 市民公益活動団体は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(性別による権利侵害の禁止)
第9条 何人も、社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、ドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。
4 何人も、性同一性障害を有すること又は先天的に身体上の性別が不明瞭であることにより人権侵害を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する配慮)
第10条 何人も、公衆に情報を表示する際には、性別による固定的な役割分担及び男女間における暴力を正当化し、又は助長する表現並びに過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(男女共同参画計画)
第11条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を定めるものとする。
2 市長は、男女共同参画計画を策定し、又は変更するに当たっては、川西市付属機関に関する条例(昭和52年川西市条例第3号)別表に規定する川西市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くものとする。
3 市長は、男女共同参画計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。
(報告書の作成)
第12条 市長は、毎年度、男女共同参画計画に基づく施策の進捗状況を明らかにする報告書を作成し、これを公表するものとする。
(調査研究)
第13条 市は、男女共同参画の推進に関する効果的な施策を策定し、及び実施するために必要な調査研究を行うものとする。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第14条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
2 市は、施策の立案、決定その他の機会において男女間に参画する機会の格差が生じている場合は、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
(広報活動等)
第15条 市は、男女共同参画の推進について、市民等の関心及び理解を深めるため、広報活動その他の適切な措置を講ずるものとする。
(活動への支援)
第16条 市は、市民等が男女共同参画の推進に関して行う活動について、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(教育及び学習の機会)
第17条 市は、家庭、学校、社会その他のあらゆる教育及び学習の機会において、男女共同参画の基本理念の啓発及び実践に努めるものとする。
(防災及び減災の分野における施策の推進)
第18条 市は、災害復興を含む防災及び減災の分野において、男女共同参画の視点を取り入れた災害対策及び被災者支援を推進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(仕事と生活の調和の推進)
第19条 市は、男女が共に仕事と家庭生活、地域生活、自己啓発等の活動との調和を図ることができるよう、ワーク・ライフ・バランスの視点に立った必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(拠点施設)
第20条 市は、川西市男女共同参画センター(川西市男女共同参画センターの設置及び管理に関する条例(平成14年川西市条例第15号)に基づき設置された施設をいう。)を、男女共同参画を推進するための拠点施設とする。
(苦情等への対応)
第21条 市は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に関し、市民等から苦情又は意見の申出があったときは、関係機関と協力し、適切かつ迅速な対応をとるものとする。
2 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する行為に関し、市民等から相談の申出があったときは、関係機関と協力し、必要な支援を行うものとする。
3 市長は、前2項に規定する苦情等への対応について必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
第3章 雑則
付則
この条例は、平成27年7月1日から施行する。