○川西市健幸まちづくり条例
平成28年9月23日
条例第23号
住み慣れたまちで、生涯にわたり、健康で幸せに暮らし続けることは市民共通の願いです。そして、健康は社会の活力の維持向上に欠くことができないものです。
近年、急速な高齢化の進展、疾病構造の変化等、市民の健康を取り巻く環境は大きく変化してきました。一人ひとりが心豊かにいきいきと暮らしていくためには、いかにして健康で過ごすことができる期間を長く保つことができるかが大きな課題となっています。
このため、市民一人ひとりが、自らの健康に関心を持ち、食生活の改善、運動の習慣化等を通じた健康づくりに主体的に取り組むことにより、生涯にわたる生活の質を高めていくことが必要です。
また、個人の健康は、家庭、学校、地域、職場等の社会環境の影響を大きく受けることから、地域社会全体の取組として健康を支え、守るための環境を整備していかなくてはなりません。
一方、本市には、「活発な地域活動」という強みがあります。かねてより各地域においては、その地域の特性を生かした地域づくり活動が展開され、その中で、健康づくりにつながる取組も展開されてきました。それらの取組は、地域交流や社会参加を通じた人と人の出会いも生み出し、ひいては地域の活力にも大きくつながっていきます。これらの地域活動そのものが健康づくりであり、健康は地域の活力の源であると言っても過言ではありません。
そこで、健康で幸せに暮らし続けることを「健幸」と定義し、「健幸」につながる幅広い視点から、本市の強みである市民力や地域力を生かした、健康づくり、人づくり、まちづくり、すなわち「健幸まちづくり」に取り組むことが重要です。
ここに、健幸まちづくりについての基本理念を明らかにするとともに必要な事項を定めることにより、「健幸」で活力ある社会の実現に寄与することをめざし、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、健幸まちづくりについて、その基本理念を明らかにするとともに、市民、市民公益活動団体、事業者、学校等及び保健医療福祉関係者の役割、市の責務並びにその推進のための基本となる事項を定めることにより、「健幸」で活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 「健幸」 市民一人ひとりが、健康で幸せに暮らし続けることをいう。
(2) 健康づくり 心身の健康の保持又は増進を図るための取組をいう。
(3) ライフステージ 妊娠・出産期、乳幼児期から高齢期にわたる人の生涯における各段階をいう。
(4) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいう。
(5) 市民公益活動団体 自発的及び自主的に行われる市民その他不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動を行う自治会、コミュニティ、ボランティア、NPO等の団体をいう。
(6) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(7) 学校等 市内の保育所、認定こども園等の就学前児童が通所する施設及び学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校をいう。
(8) 保健医療福祉関係者 市内で保健医療福祉サービスを提供する個人又は法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 健幸まちづくりは、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
(1) 市民一人ひとりが主体となって、自らの健康又は生活習慣に関心を持ち、それぞれの健康状態又はライフステージに応じて生活の質を高めるよう取り組むこと。
(2) 地域社会全体の取組として、市民、市民公益活動団体、事業者、学校等、保健医療福祉関係者及び市が相互に連携を図りながら協働して推進すること。
(3) 歩くことをはじめとする身体活動、運動及び食を通じて、個人の健康意識を高めるだけでなく、出会い又は交流を深めることにより、地域の活性化を促すものであるという認識のもとに推進すること。
(市民の役割)
第4条 市民は、基本理念にのっとり、健康づくりに関する理解を深め、それぞれのライフステージで個人及び家族の状況に応じた健康づくりを積極的に実践するよう努めるものとする。
2 市民は、基本理念にのっとり、学校等、地域、職場等において行われる健幸まちづくりに資する活動及び市が実施する健幸まちづくりの推進に関する事業に参加するよう努めるものとする。
(市民公益活動団体の役割)
第5条 市民公益活動団体は、基本理念にのっとり、地域のつながり並びに自らの持つ知識及び専門性を生かし、健幸まちづくりに資する活動に取り組むよう努めるものとする。
2 市民公益活動団体は、事業者、学校等又は保健医療福祉関係者が行う健幸まちづくりに資する活動及び市が実施する健幸まちづくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、従業員等が健康づくりに取り組みやすい職場環境の整備に努めるとともに、自らの活動を通じて、健幸まちづくりに資する活動に取り組むよう努めるものとする。
2 事業者は、市民公益活動団体、学校等又は保健医療福祉関係者が行う健幸まちづくりに資する活動及び市が実施する健幸まちづくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(学校等の役割)
第7条 学校等は、基本理念にのっとり、幼児、児童、生徒及び学生に対し、健康教育を推進することにより、健幸まちづくりに資する活動に取り組むよう努めるものとする。
2 学校等は、市民公益活動団体、事業者又は保健医療福祉関係者が行う健幸まちづくりに資する活動及び市が実施する健幸まちづくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(保健医療福祉関係者の役割)
第8条 保健医療福祉関係者は、基本理念にのっとり、自らの活動を通じて保健医療福祉に関する正しい情報を提供し、それぞれの個人に応じた適切な保健医療福祉サービスの提供を受けられるよう努めるものとする。
2 保健医療福祉関係者は、市民公益活動団体、事業者又は学校等が行う健幸まちづくりに資する活動及び市が実施する健幸まちづくりの推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市の責務)
第9条 市は、基本理念にのっとり、健幸まちづくりの推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。
2 市は、前項に規定する施策を策定し、実施するに当たっては、検証等による評価及び見直しを行い、効率的かつ効果的な施策の推進を図るものとする。
(基本計画)
第10条 市長は、健幸まちづくりの推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定する。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 「健幸」につながるまちづくりの推進に関すること。
(2) からだと心の健康づくりに関すること。
(3) 歯と口の健康づくりに関すること。
(4) 食育の推進に関すること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
3 市長は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、川西市付属機関に関する条例(昭和52年川西市条例第3号)別表に規定する川西市健康づくり推進協議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(「健幸」につながるまちづくりの推進に関する施策)
第11条 市は、「健幸」につながるまちづくりを推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 運動の習慣化を促進するため、楽しく歩くことを基本とした市民が主体的に行う健康づくりの取組の奨励に関すること。
(2) 生涯にわたりいきいきと元気に過ごすため、多様な地域交流と社会参加ができる環境の整備に関すること。
(3) 健康づくりを支援する生活環境、交通環境その他の環境の整備に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、「健幸」につながるまちづくりを推進するために必要な施策
(からだと心の健康づくりに関する施策)
第12条 市は、からだと心の健康づくりを推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 生活習慣病、感染症その他の疾患の予防に関する知識の普及及び啓発に関すること。
(2) 健康診査、がん検診等、予防接種及び保健指導その他の保健事業に関すること。
(3) 心の健康づくりに関する知識の普及及び啓発並びに相談に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、からだと心の健康づくりを推進するために必要な施策
(歯と口の健康づくりに関する施策)
第13条 市は、歯と口の健康づくりを推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 生涯にわたる歯と口の健康の保持の重要性及び健康づくりに関する知識の普及及び啓発に関すること。
(2) 歯科健診、歯科保健指導、歯科相談その他の歯科保健事業に関すること。
(3) 障がい者、介護を必要とする高齢者その他の歯科保健医療サービスを受けるに当たり特に配慮を要する者に対する支援に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、歯と口の健康づくりを推進するため必要な施策
(食育の推進に関する施策)
第14条 市は、食育を推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 食を通じた健康に関する知識の普及及び啓発に関すること。
(2) 心豊かな食文化の醸成や食環境づくりに資するための事業に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、食育を推進するために必要な施策
(人材の育成及び活用)
第15条 市は、健幸まちづくりの推進を図るため、地域等において健幸まちづくりに資する活動を自主的に展開できる人材の育成及び活用に努めるものとする。
(普及活動の推進)
第16条 市は、健幸まちづくりについての理解を深めるため、その普及活動を行うものとする。
付則
この条例は、平成28年10月1日から施行する。